元FMステーション編集長・恩蔵茂が語ったあの頃「FM放送に誰もが夢中になっていた1980年代は[Jポップ黄金時代]」

FMステーションが歩んだ[Jポップ黄金時代]

文/恩藏 茂

高音質で最新音楽を丁寧に聞かせてくれるFM放送に誰もが夢中になっていた

FMステーション誌を愛読していた、懐かしい思い出がある……そんな声が聞こえてきそうです。が、もう25年以上も昔の話。エアチェックという言葉を知らない世代も多いのでは。昭和をエモいと感じる世代のために、FMステーションとJポップがきらめいていた時代の話を振り返ります。

カセットテープの登場で一気に拡がった”エアチェック”

思えばカセットテープはとんでもなく画期的なアイデア商品だった。磁気テープをリールごとカセットに入れてしまうという発想が、技術向上とともに、やがてオーディオ界に革命を起こす。ラジカセ(ラジオカセットレコーダー)が生まれ、“カーステレオ”が“カーオーディオ”になり、ウォークマン(ソニー)が開発されて、人類史上初めて、音楽は持ち運びできるものになった。

思えばカセットテープはとんでもなく画期的なアイデア商品だった。磁気テープをリールごとカセットに入れてしまうという発想が、技術向上とともに、やがてオーディオ界に革命を起こす。ラジカセ(ラジオカセットレコーダー)が生まれ、“カーステレオ”が“カーオーディオ”になり、ウォークマン(ソニー)が開発されて、人類史上初めて、音楽は持ち運びできるものになった。

思えばカセットテープはとんでもなく画期的なアイデア商品だった。磁気テープをリールごとカセットに入れてしまうという発想が、技術向上とともに、やがてオーディオ界に革命を起こす。ラジカセ(ラジオカセットレコーダー)が生まれ、“カーステレオ”が“カーオーディオ”になり、ウォークマン(ソニー)が開発されて、人類史上初めて、音楽は持ち運びできるものになった。

エアチェック・ブームの立役者はFM雑誌

日本中の少年少女が突如としてジャズやスタンダード・ナンバ―に目覚めたわけではない。邦楽のポピュラー音楽のクオリティが(音質を含め)急激に向上し、FMで最新流行のポップスが流れるようになったのである。このエアチェック・ブームになくてはならないものが、カセットテープとラジカセのほかにもうひとつあった。それがFM雑誌だ。2週間ごとの各FM局の番組表を掲載し、注目の番組と、人気アーティストのインタビュー、新譜とオーディア新製品の紹介などを詰め込んだ音楽情報誌である。

番組表には、各番組で放送される曲目がオンエア順に並び、曲名・アーティスト名はもちろんのこと、各曲の演奏時間と、それを合計した時間まで載っている。どの収録時間のカセットテープを選べばいいか、ひと目でわかるようになっているのである。番組を録音して終わりというわけではない。エアチェックの楽しみとして、レーベル(ラベル)作りという面倒くさくも胸はずむ作業が待っている。レーベルに曲目を書き込み、背ラベルにタイトルとアーティスト名を入れ、カセットケースに収める。レコード・ジャケットがわりと考えればいい。となれば、カセットテープに付いているメーカー標準のレーベルでは味気ない。そこで、FM誌には“おまけ”として美しい風景写真やポップなイラストが印刷された特製カセット・レーベルが綴じこまれていた。これを切り取って、思い思いにカセットを飾るのである。(『カー・アンド・ドライバー』誌の姉妹誌だった『FMステーション』ではこれを“ドレスアップ”と呼んでいた)

最後発のFM雑誌『FMステーション』の登場(次ページで読む)