渡辺満里奈、松本伊代、早見優、野宮真貴が登場!! 80年代を彷彿とさせる歌謡ショーイベント『ザ・ナイトテン4』レビュー

1980年代に放送されていた音楽番組をモチーフにした架空の歌謡ショー

 2023年11月4日、100周年を迎える日比谷野外音楽堂でFMラジオ局J-WAVEとDJ/音楽プロデューサーのNight Tempo(読み:ナイトテンポ)とタッグを組み、80年代の歌姫“4”人が出演するスペシャルイベント『祝・日比谷野音100周年 J-WAVE & Night Tempo present ザ・ナイトテン4』が開催された。Night TempoはWink や杏里などの昭和歌謡&シティポップをリエディットした作品を数々リリースしている活動で知られており、イベントは、1980年代に放送されていた音楽番組をモチーフに、架空の歌謡ショー“ザ・ナイトテン4”として行われた。多くの観客で盛況となった、その歌謡ショーの模様をここに紹介しよう。

 11月とは思えないような、温かい日となった11月4日。屋外会場の日比谷野音でも長袖シャツ1枚で大丈夫だ。会場はほぼ満員、若いカップルから、80年代に青春を送っただろうと思われる年配者など観客の年齢は様々。著者の席の前には、年配男性と若い女性という組み合わせ、聞こえてくる会話に耳をすますと、親子のようだ。また会場前方を見ると松本伊代と書いたハッピに鉢巻をまいた一群が。80年代のアイドルコンサート会場でよく見た親衛隊スタイルだ。80年代の歌謡ショーをモチーフにしたというこのイベントの雰囲気を一気に盛り上げてくれる。

 会場が薄暗くなってきた17時にイベントはスタートした。まず登場したのは、80年代に流行った丈の短いスペンサージャケットを着たNight Tempoとトレンチコートを着た東京事変のメンバーで音楽プロデューサーの亀田誠治。彼らの軽快なおしゃべりが会場を温める。今回は2部構成で、1部は、ゲストが一人ずつ登場し、歌を披露。2部はNight Tempoがプロデュースするレトロ系アイドル・FANCYLABO のステージとNight Tempo のDJタイムとのことだ。

トップバッターは元・おニャン子クラブの渡辺満里奈。飛び交う「かわいいー」の声援

 1部の一人目に登場したのは、渡辺満里奈だ。1曲目は1987年にリリースされ、オリコン1位を獲得、彼女の代表曲になっている『マリーナの夏』。Night Tempoならではの、ビートがきいたアレンジがされ、思わず体でリズムをとってしまう。客先から「満里奈」のコールが飛びかった。Night Tempoによると、この日のためにMIX をしたとのことだ。

 2曲目は彼女のデビュー曲の『深呼吸して』(1986年)。これはアレンジがされず原曲のまま歌が披露された。振り付けをしながら歌う渡辺満里奈は、52歳とは思えないかわいらしさ。客席からも「かわいいー」の声援が飛ぶ。彼女の「すっごく楽しい。今回は私は若輩者なので先輩たちの歌を楽しみたいです」のコメントで渡辺満里奈のパートは終了した。ゲストは1曲目にNight Tempoのアレンジで2曲目は原曲でという構成になっているようだ。

ピンクのキュートなドレスで登場した松本伊代

 二人目は、松本伊代。80年代アイドル風のピンクのドレスを着て登場した。すぐに親衛隊たちから「伊代ちゃーん」のコールが飛ぶ。1曲目は『Private fileは開けたままで』。1989年にリリースされた10枚目のアルバムに収録されている曲だ。シングル曲ではないので、初めて聴いた曲だったが、彼女の声にとてもあっている。曲が終了し、Night Tempoが「新しい伊代ちゃんをみせたかったからこの曲にした」とコメント。それに対して松本伊代は「まさかのこの曲が歌えるなんて夢のよう。実は、レコーディング以来初めて歌ったかも」と笑いながらこたえていた。

 2曲は「私の代名詞」との説明でデビュー曲の『センチメンタルジャーニー』(1981年)に。歌う前に観客に一緒に振り付けをするようにとお願いをし、振り付けをレクチャー、曲はスタートした。彼女の代表曲としてだけでなく、80年代歌謡曲を代表する曲だけあって、とてもパワーがある曲だ。会場はヒートアップし、『センチメンタルジャーニー』の部分になると観客の多くが一緒に振り付けを。会場を見ると若いカップルが笑顔で振り付けをしながら、歌詞を口ずさんでいた。最後まで盛り上がったまま曲は終了。「観客の皆さんと楽しく過ごせて、素敵な時間をありがとうございました」とのコメントを残し、「伊代ちゃーん」のコールに送られながらステージを後にした。

ショートパンツ姿で今も元気いっぱいの早見優

 三人目に登場したのは、早見優だ。ショートパンツというアクティブな衣装で登場。1曲目『Beat Lover』、1989年にリリースされた25枚目のシングルだ。当時、コーセー化粧品のCM で流れていた。激しい振り付けで歌い、会場を端から端まで動き、観客たちをあおり、元気に歌い上げる。歌い終わると観客の盛り上がりに「ありがとーうれしー皆さんの熱気がステージに伝わりました」とこたえていた。

 2曲目は彼女の代表曲の『夏色のナンシー』。1983年に発売された5枚目のシングルで、コカ・コーラのCM に使われていた。こちらも歌う前に観客と合いの手の練習。「YES」のタイミングを確認する。その際、通常は「YES」は3回だけど今回はナイトテン4なので特別に4回という彼女の提案で歌がスタートした。歌い踊る姿は、57歳には到底見えない。「恋じゃなーい」の合いの手パートになる、客席から「YES」の声援が飛ぶ、筆者の後ろからの大きな声援に振り返ると、当時若者だった思われる男性が飛びあがりながら「YES」の声援を送っていた。好きだった曲を聴くと、気持ちは若いころに戻るのだろう。

ゴージャスな赤いドレスが魅力的だった野宮真貴

 四人目は、野宮真貴。90年代にピチカート・ファイブのボーカルとして活躍した歌姫だ。真っ赤のゴージャスなドレスで登場した。1曲目は1993年にリリースされた『東京は夜の七時』。90年代に若者に人気があった音楽ジャンル・渋谷系の代表曲だ。今回、Night TempoはMIX だけでなく、フィーチャリングとなっており、原曲とはかなり違ったアレンジになっている。ビートがさえわたり、とても踊りやすい。観客席の揺れもより激しくなっていた。曲の終了後、Night Tempoとのつながりを聞かれると「去年のフジロックで共演しました」とのこと。それ以外に何度も共演をしているらしい。

 2曲目は1993年にリリースされたピチカート・ファイブの4枚目のシングル『スウィート・ソウル・レビュー』。彼女からの「今回のためにリミックスしたバージョンで、初公開です」のコメントでスタートした。ミドルテンポな曲で、体を揺らしながらノルにはとてもマッチしている。客席からはコールや声援が飛びかう感じではなく、まったりしたノリが楽しめた。ステージの野宮真貴の美しさに魅了されながら、「彼女は何歳?」と疑問を落ち、その場でネット検索するとなんと64歳。とても64歳とは思えない、美しい姿を楽しまさえてもらえたステージでもあった。

ここで1部は終了した。

2部は90年代テイストアイドルのFANCYLABOから

 2部は、FANCYLABO のステージから始まった。2000年代を意識したストリート・ファッションを身にまとい、矢川葵(元Maison book girl)と市川美織(元AKB48/NMB48)が登場、曲は2023年8月にリリースされるシングルの『Trouble Maker』。90年代風のキャッチーなダンスナンバーだ。ステージを見ていて、曲調や振り付けから90年代に活躍したある二入組を思い出した。それはWinkだ。 少しテンポの速い2024年版Winkは懐かしさと現代テイストがまじりあってとても心地よい。観客の反応を見てみると、若者にも年配者にもうけいれられているようだ。

 2曲目は11月1日にリリースされたばかりの新曲『Brand New World』。こちらは2000年代に流行ったニュー・ジャック・スウィング調の曲だ。この曲も観客の反応はとてもよかった。この2曲を披露し、彼女たちのステージは終了した。

最後はNight TempoのDJパフォーマンス。昭和の名曲が続出

 このイベントの最後はNight TempoのDJパフォーマンスだ。昭和の名曲『YMCA』のプレイからステージは始まった。イントロが流れると観客の声援が一段と大きくなる。サビの部分の「YMCA」になると、会場全体がお決まりの英文字を手で作る振り付けをする。誰の指示もなく、若者も年配者も一斉に同じ振り付けをする曲があるだろうか。スタートから会場はヒートアップした。

 中盤は、1部に登場した4人のアイドルの曲をプレイし、再び4人がステージに登場し、曲に合わせノリ、観客たちと一緒になって楽しんでいた。観客たちのヒートアップは止まらない。

 後半はまた、昭和の名曲を次々とプレイ。ラッツ&スターの『め組の人』、吉幾三の『俺ら東京さ行くだ』Winkの『寂しい熱帯魚』などなど、『め組の人』では 「そうだよめ」の際の振り付けをステージ上のアイドルたちがリードをし、観客の多くが同じ振り付けをしていた。

 最後の曲は、70年代に活躍したアイドル・ピンクレディの『ペッパー警部』。もちろん大きな盛り上がりを見せ、パフォーマンスは終了。おまけとしてエンディングのジングルは、『ザ・ベストテン』のエンディング曲という凝りようだった。

 なおこのイベントのライブ音源は、2023年11月23日(木・祝)18時からJ-WAVEで放送のスペシャルプログラムにおいてオンエアされる予定になっている。ぜひお楽しみを。また、大好評だったTシャツ、プロマイド、シール等のイベントグッズがオンライン販売予定、詳細は後日J-WAVEのウェブサイトで通知となっているので、チェックしたい。

撮影/上飯坂一(Hajime Kamiiisaka)

イベント概要

タイトル:祝・日比谷野音100周年 J-WAVE & Night Tempo present ザ・ナイトテン4
日時:2023年11月4日(土)OPEN 16:00 / START 17:00
会場:日比谷野外音楽堂
料金:指定席 7,800 円
出演者:Night Tempo、野宮真貴、早見 優、松本伊代、渡辺満里奈、亀田誠治(MC)、FANCYLABO
(ゲスト4名は五十音順)
イベントサイト:https://www.j-wave.co.jp/special/nightten4/