シティ・ポップの名曲、名作の再発が続く、著名アーティスト提供のアイドル作品が激アツ!
レコード会社にとっては大きなビジネスチャンス、積極的に再発してファンが増加

シティ・ポップブームは2025年も勢いが止まらない。これまでは、廃盤だったり、サブスクに入ってなかったりといった理由から、簡単には聴けない曲が多かったのだが、レコード会社も再発を積極的に実施。手軽に聴けるようになり、さらにファンが拡大している。
2024年には、大橋純子や松原みき、三浦徳子などがそれぞれのシティ・ポップの名曲を再発している。松原みきに関しては、楽曲を手がけた林哲司が『真夜中のドア〜Stay With Me』のリアレンジを実施。2024年版作品として、現代風のシティ・ポップが堪能できる。
多くのアーティストが一気に楽しめるコンピレーションアルバムはうれしい存在だ。11月にソニーミュージックから70〜80年代のシティ・ポップをセレクトした4枚組CD BOX 『CITY POP STORIES -'70s & '80s-』をリリースした。1アーティスト1曲で構成し、有名な曲から知る人ぞ知る曲まで全72曲が楽しめる。
アルバムジャケットは、FM情報誌『FM STATION』の表紙や山下達郎のアルバム『FOR YOU』のジャケットで有名なイラストレーター、鈴木英人さんのイラストが用いられているが、このイラストについて英人さんは次のようにコメントしている。
「70年代から80年代にアメリカを取材旅行で回っていたころ、このレコードショップ(MAY & DUNCAN)に出逢いました。このショップで当時人気だったロック歌手のレコードを買い求める人たちを見たときの気持ちを思い出して描いた作品です。1984年第1号の雑誌『FM STATION』のカバーを飾っています。手前に見えるクルマは、おそらく1958年のシボレー・ベルエア・インパラ・スポーツクーペだと思うのですが……。読者の皆さんからの情報をお待ちしています。」
英人さんのイラストジャケットを見ながら楽しむと、時代感が増し、シティ・ポップの魅力がビビッドに伝わってくる。

最近は、80年代アイドルが歌ったシティ・ポップの再発が増えている。アイドル全盛期だった80年代、一定のサイクルでシングルが発売され、アルバムも多数リリースされた。アイドルに作品を提供したシティ・ポップ系アーティストたちも多い。 菊池桃子は9月に2枚組のベスト盤『Eternal Best』をリリースした。注目はDISC1の15曲、菊池桃子の最盛期を築き上げた往年のヒット曲が収録され、すべての作曲を林哲司が手掛けている。『Blind Curve』や『So Many Dreams』はシティ・ポップの名曲として名高い。

斉藤由貴は、80年代当時はシングルとしてはリリースしていなかった『ストローハットの夏想い』と『眠り姫』(アルバム収録曲)の両A面7インチシングルを11月にレコードでリリース。両曲とも、現在、シティ・ポップの名曲として国内外で高く評価されている。ジャケットは、80年代に撮影した初出写真でデザイン。当時風に作成したうれしい逸品だ。斉藤由貴はこの2曲を含め、持ち歌の数々を当時のアレンジままパフォーマンスする全国ツアーを2025年2月から開催する予定だ。
他にも牧瀬里穂が、竹内まりや作詞・作曲の『Miracle Love』とシティ・ポップ調のブラスアレンジが心地よい『誰にも明日はやって来る』を両A面7インチシングルレコードで11月にリリースしている。
過去の名曲発掘が進み、アイドル作品にも注目が集まり始めた。埋もれていた名作に光が当たるトレンドは、当時を知る世代にも知らない世代にもうれしい現象といえる。
作品紹介

タイトル:CITY POP STORIES -’70s & ’80s-
仕様・価格:2枚組CD BOX 9240円

タイトル:菊池桃子 40周年記念ベストアルバム『Eternal Best』
仕様・価格:CD2枚組 6600円

タイトル:牧瀬里穂『Miracle Love/誰にも明日はやって来る』
仕様・価格:7inchレコード 2420円