ビリー・アイリッシュ、8/16来日公演のライヴレポートが公開!

360度ステージで最高のパフォーマンスを披露し観客を魅了

 ビリー・アイリッシュが全世界での総再生数100億回越えの最新アルバム『ヒット・ミー・ハート・アンド・ソフト』を引っ提げた2夜限りの来日公演『HIT ME HARD AND SOFT: THE TOUR』が2025年8月16日、17日にさいたまスーパーアリーナにて開催された。

 2024年9月から始まり、17カ国、55都市を回るワールドツアーにて、およそ3年ぶりとなった待望の本来日公演では、世界で話題の会場センターに建てられる360度ステージやハンディカメラを通したステージスクリーンなど見どころ満載な演出も際立ち、会場を大いに熱狂させた。そして同公演の初日公演のライヴレポート、写真、さらにはセットリストがプレイリストとして公開された。

1曲目は日本のアニメ作品からインスパイアを受けたという楽曲「CHIHIRO」をパフォーマンス

 前回の有明アリーナからちょうど3年ぶりとなった、ビリー・アイリッシュの来日公演。会場となったさいたまスーパーアリーナには、スタイルを真似た人、入手したばかりのツアー・グッズを身にまとう人など、ビリーへの愛を感じさせる観客で、360度のステージは取り囲まれていた。

 そのなかで、会場が暗転すると、ステージ中央にLEDに照らされたキューブが出現。徐々に宙に浮かんでいくと一瞬照明が消えて、中に入ったビリーが(ミリタリー風なTシャツの上にタンクトップ、ギンガムチェックのパンツというコーディネートをしている)。瞬く間に歓声が巻き起こる。やがてキューブの上に颯爽と登場すると、割れんばかりの絶叫が会場に轟く。

 そして、最新アルバム『ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト』から、日本のアニメ作品からインスパイアを受けたという楽曲「CHIHIRO」をパフォーマンス。これまでおこなってきたワールド・ツアーでもオープニングを飾った楽曲ゆえ、オーディエンスも待ってましたとばかりに、大合唱。また、楽曲のインスパイアを与えた国でのパフォーマンスゆえか、どの場所よりもエモーショナルに、またリスペクトの思いをこめて披露しているような気がした。

 続いて「東京(=日本)のみんな、元気?」と軽く挨拶をし、最新作から「LUNCH」をパフォーマンスすると、ビリーは広いステージを全力疾走。観客と一緒に、この空間を全身全霊で楽しもうという姿勢がうかがえたのだった。

 その後「NDA」など、アップテンポな楽曲を披露し終えると、ビリーは改めて会場に訪れたファンとの貴重な時間を噛み締めている様子。30秒以上も歓声を受け止め(途中でうれしさのあまり笑顔がこぼれる場面も)、「改めて日本でライヴができることがうれしい、今日は楽しんで!」と絶叫し、アルバムから美しくもはかないメロディが印象的な「WILDFLOWER」を熱唱し終えると、「ほかの楽曲では自由に歌って叫んでいいから、この1分間だけは静かに耳を傾けて」とオーディエンスに呼びかけ、デビュー盤に収録された「when the party's over」をパフォーマンス。すると、会場は一瞬にして静まりかえり(海外ではなかなかそういう瞬間はなかったよう)、代わりに会場がスマホや携帯電話の光に包まれるなか、ビリーは胡座をかき、まるで禅の世界に没入したような、イノセントな雰囲気を漂わせていた。

 美しい静寂に包まれたあとは、アンニュイでミステリアスな雰囲気の「THE DINER」や、自らカメラを持ちバンド・メンバーの表情を紹介しながら披露していた「bad guy」(ラストの転調部分でみせた表情が、毒々しさとともにデビュー当時にはなかったエレガントな笑顔が垣間見られ、それが心に深く刻まれた)など、アップ・チューンを展開。会場をさらにヒート・アップさせたのだった。

 その後MCでは、3年ぶりに日本でライヴがおこなえることに対する感謝の気持ちを伝える。「このステージを通じて、みんなが安全で、自分らしくいられる場所があるということを感じてもらいたい。自身を開放して自由にいられる場所が、世界のどこかにあるということに。安全な空間あるという感覚。それがあるだけで、どんなに心が救われることか。自分にとって、この空間でみなさんと過ごせることが、本当に素晴らしい体験になっています。最高に楽しんでいる。ありがとう」

 その真摯なメッセージに拍手が巻き起こるなか、ステージ中央にコーラス隊を招き、アコースティックで2ndアルバムに収録の「Your Power」、最新作からの「SKINNY」などを披露。シンプルな音色ゆえに、ビリーの情緒豊かなヴォーカル力をじっくりと堪能することができたと同時に、ビリーの音楽に耳を傾けているすべての人が自身のパワー(モチベーション)につながっているということを感じさせるパフォーマンスであった。

 ステージも終盤にさしかかると、「bury a friend」をはじめとするアップテンポのナンバーで会場を盛り上げる。さらに19年発表のシングル「everything i wanted」などは、中央とは異なる特設ステージで公開。(一部の観客は)至近距離でビリーと触れあうことができ、興奮の表情を浮かべていた。その後、オーディエンスとハイタッチを交わしながら、中央へ戻ると、今度はキーボードを弾きながらデビュー曲である「Ocean Eyes」を披露。発表から10年近く経過した現在だからこそ描ける、深みのあるブルー(海の色)を感じることができた、とても幻想的な時間になったのだ。

 ラストのMCでは「15、16歳のころから来日をしているけれど、みなさんはいつも温かく迎えてくれて、本当に感謝しています。だから、私はみなさんをとても大事に思っている。愛しています。本当に美しい場所で、ここに来られるのは贅沢なこと。また、日本に来ると、自分を感じることができる。出身地から遠く離れた場所なのに、距離の近さを感じていて、現実離れした気分になるというというか。感謝の気持ちでいっぱいです。本当に愛しています。今日は来てくれてありがとう」と感謝の気持ちを誠実に伝え、映画のサウンドトラックとして制作した「What Was I Made For? 」を語りかけるようにパフォーマンス。

 さらに、こちらも日本の映画の主題歌に起用された「Happier Than Ever」では、エレキギターを持って披露。途中で、咳き込んでしまい「エヘヘ」と照れ笑いを浮かべた様子が印象的だったというか。特別な親近感をおぼえた。

 そしてラストには最新作からの大ヒット曲「BIRDS OF A FEATHER」を、まさに自由に空間を舞う鳥(もしくは妖精)のようなたたずまいで熱唱。ラストには羽のような紙吹雪が会場に舞い、さらに自由でハッピーな雰囲気に包まれ、ステージはあっという間に終了したのだった。

 パフォーマンス後、ビリーは360度あらゆる角度の先端に向かい、深々とお辞儀をし、さらにステージからフロアに降りて、そこでも感謝の気持ちを表現しながらバックステージへ。ビリーにとって、ファンやリスナーと触れあえる時間が何よりも大切な瞬間であること、また(これは偏見になるかもしれないが)日本がインスピレーションを与える場所であるというリスペクトが伝わってきた公演になったと思う。おそらく次のアルバムのリリース後になると思うが、またビリーと特別な関係を築く機会が待ち遠しくなった。

文:松永尚久

<8月16日セットリスト>
CHIHIRO
LUNCH
NDA
Therefore I Am
WILDFLOWER
when the party’s over
THE DINER
ilomilo
bad guy
my future
THE GREATEST
Your Power
SKINNY
TV
BITTERSUITE
bury a friend
Oxytocin
Guess featuring billie eilish
everything i wanted
BLUE
lovely
ocean eyes
L’AMOUR DE MA VIE [OVER NOW EXTENDED EDIT]
What Was I Made For?
Happier Than Ever
BIRDS OF A FEATHER
●プレイリスト: https://umj.lnk.to/THESETLIST_BILLIEEILISH

ライブ概要

タイトル:HIT ME HARD AND SOFT: THE TOUR
開催日:2025年8月16日
会場:さいたまスーパーアリーナ

ビリー・アイリッシュ プロフィール

2001年12月18日生まれ、米国ロサンゼルス在住のシンガー・ソングライター。

2019年に発売したデビュー・アルバム『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?/ ホエン・ウィ・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー?』は英米を含め全世界18の国と地域で1位を獲得。2019年に全世界で最も売れたデビュー・アルバムとなり、米ビルボード・アルバム・チャート(Billboard 200)の年間アルバム・チャートでは史上最年少で1位に輝いた。彼女の代表曲『bad guy/ バッド・ガイ』は、全米シングル・チャート(Billboard Hot 100)で1位を獲得し、2000年以降に生まれたアーティストとして史上初の偉業を達成。2021年4月には、ここ日本でも、日本レコード協会のストリーミング認定開始以降、洋楽女性アーティスト初、さらに洋楽史上最速でのプラチナ認定(1億回再生)となった。

2020年の『第62回グラミー賞』で、史上最年少18歳で、年間最優秀レコード、年間最優秀アルバム、年間最優秀楽曲、最優秀新人賞の主要4部門に加えて合計5部門を受賞。主要4部門の獲得は39年ぶりの史上2人目、最年少、初の女性という偉業を達成。2021年の『第63回グラミー賞』でも、2年連続となる年間最優秀レコードと、最優秀映像作品楽曲を受賞。グラミー賞で最も権威がある年間最優秀レコード賞を2年連続で受賞した、史上最年少19歳という記録を作った。

2021年10月に公開した映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』では、主題歌『No Time To Die』を最年少で制作、歌唱。同楽曲は、ビリー初のUKシングル1位、初の女性シンガーが担当した007主題歌1位、そして2020年UK発売初週で最も売れた曲に。

待望の2ndアルバム『Happier Than Ever/ハピアー・ザン・エヴァー』を、2021年7月30日に発売。全米・全英含む全15か国で1位を獲得。

2023年映画『バービー』のために書き下ろした楽曲『What Was I Made For?/ホワット・ワズ・アイ・メイド・フォー?』は、第81回ゴールデングローブ賞『最優秀オリジナル楽曲賞(映画部門)』、第66回グラミー賞『年間最優秀楽曲』、第96回アカデミー賞『歌曲賞』を受賞。

2024年5月待望の3rdアルバム『HIT ME HARD AND SOFT/ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト』をリリースし、アルバムを引っさげて初のプロモーション来日を行った。

同アルバムは第67回グラミー賞にて主要3部門全5部門にノミネートされ、アーティストとしては7部門にノミネートされた。

ビリー・アイリッシュ 公式サイト&SNS

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