ラップが日本で一大ムーブメントに!海外の舞台に進出するアーティストも続々!

日本の音楽を世界へ発信することを目的として開催された音楽の祭典、MUSIC AWARDS JAPAN 2025でも強いインパクトを残す

Creepy Nuts

 2025年5月に日本の音楽を世界へ発信することを目的として開催された音楽の祭典、MUSIC AWARDS JAPAN 2025(MAJ2025)は、日本を代表するトップアーティストが多数出演。NHKでのテレビ放送直後には、豪華なパフォーマンスと受賞作品の高いクオリティに多くの称賛が寄せられ、一夜にして日本を代表する音楽イベントとしての地位を確立した。

 このMAJ2025で強いインパクトを残したのが、ラップ・ミュージックだ。オープニングショーでは千葉雄喜とちゃんみなが出演し、個別パフォーマンスでもCreepy Nuts、ちゃんみな、AI×Awich×NENE×MaRIのコラボが話題を呼んだ。J-POP、歌謡曲、J-ROCKよりもラップアーティストの出演者数が多かったことは、ラップがこれまでのサブカルチャーな音楽ジャンルから、音楽界の主流へと大きく成長したことを示している。

 ラップは、1970年代のアメリカで誕生したストリートカルチャー、ヒップホップがルーツ。

 ヒップホップは、DJ、MC、ブレイクダンス、グラフィティという4要素から成る。人々が刺激を求めて集まる中、DJが音楽を流し、MCが言葉で観客を盛り上げ、ブレイクダンサーが踊り、グラフィティアーティストが壁に絵を描いた。ラップは、このうちのDJによるビートと、MC(ラッパー)による語りで構成する音楽。日本では長らくマイナーな存在だったが、2020年代半ばになって、急速に大衆の支持を得るようになってきた。

リアルで等身大の言葉が広がる、女性ラッパーの台頭も話題

ちゃんみな

 では、なぜラップがここまで人気を集めるようになったのだろうか。主に3つの要因が挙げられる。

 第1に、ラップが日本の若者にとって「等身大の音楽」になった点である。日本のラップはかつて、アウトロー文化やハードな世界観を前面に出す傾向が強かった。しかし、現代のラッパーたちは、心情の深さや社会に対するリアルな視点を重視し、リスナーが「自分ごと」として共感できる歌詞を発信している。たとえば、2024年2月にリリースされた千葉雄喜の『チーム友達』は、仲間への率直な思いを歌った楽曲であり、幅広い層に強く響いた。

 第2に、ちゃんみなやAwichに代表される女性ラッパーの台頭も、ラップ人気を押し上げる大きな要因となっている。彼女たちは自らの生き方や思いを、力強く、時に繊細に表現している。その姿勢は、Z世代を中心に多くの共感を呼び、とくに若い女性ファンから絶大な支持を受けている。彼女たちの存在がラップをポップで親しみやすいカルチャーに進化させている。

 3つ目はストリーミングサービスの普及で、日本のラップが海外でも聴かれるようになったこと。Spotifyなどのサービスを通じて、アニメやSNS経由で日本のヒップホップが海外に届き、グローバルな人気を獲得している。これにより、海外フェスへの出演や、世界的アーティストとのコラボレーションも増え、国境を越えた支持を得るようになっている。

多くのラッパーが海外でも高い評価を得て、グローバルな活躍を

YouTubeの大人気チャンネル『THE FIRST TAKE』でAwichはアメリカのラッパーFERGと共演した

 こうした状況の中で、どのようなアーティストが支持を集めているのか。代表的な存在を紹介しよう。

 まずはラッパーのR-指定とDJ松永によるユニットCreepy Nuts。2024年1月にリリースした『Bling-Bang-Bang-Born』は、日本を含む6カ国でデジタルチャート1位を記録。続く『オトノケ』『Mirage』も再生数1億回を超えるなど世界的ヒットとなった。MAJ2025では主要9部門を制し、その圧倒的な人気と実力を証明した。

 次に千葉雄喜。代表曲『チーム友達』は国内外で大ヒットし、アメリカのラッパーMegan Thee Stallionとのコラボ曲『Mamushi』はBillboard Hot 100で36位、U.S. Rhythmicチャートでは1位を獲得。MTVアワードでは日本人として初めてメインステージに登場し、現在はロサンゼルスに拠点を移してグローバル活動を本格化させている。

 ちゃんみなは、シンガーとラッパーの両面を持つアーティスト。Z世代を中心に圧倒的な支持を受けている。『Never Grow Up』『ハレンチ』『B級』などのヒット曲を持ち、いずれもストリーミング再生数は1億回を超えている。アメリカの音楽誌『Rolling Stone』による「2025年 日本代表アーティスト25組」にも選出され、自身がプロデュースするガールズグループ、HANAは、ラップを軸にした楽曲でBillboard JAPAN Hot 100初登場1位を記録するなど、多角的に活躍している。

 Awich(エーウィッチ)は横浜アリーナ単独公演で2万人を動員し、アメリカのカルチャー誌『GQ』は「次世代グローバル・ヒップホップ・スター」として高く評価した。コーチェラ・フェスティバル(米国)などの有名海外フェスに出演し、RZAやFERGなど国際的なアーティストとのコラボも精力的に行っている。

 ラップはいまや、日本の音楽シーンの中心に立ち、世界に向けた発信力を持つジャンルに発展した。今後、日本のラップは国際的評価をいっそう高め、音楽文化の多様性を広げていくだろう。広がる前途に期待が高まる。

作品情報

アーティスト:Creepy Nuts
タイトル:LEGION
リリース中
特設サイト:https://creepynuts.com/legion

アーティスト:ちゃんみな
タイトル:i love you
リリース中
配信サイト:https://NOLABEL.lnk.to/iloveyou

アーティスト:Awich
タイトル:Frontiers[
リリース中
配信サイト:https://lnk.to/awich_frontiers