シティ・ポップの進化系!Vaundy やキタニタツヤが歌うネオ・シティ・ポップが20代、30代を魅了する

山下達郎、杉山清貴、竹内まりや、杏里たちから始まったシティ・ポップ

 今、ネオ・シティ・ポップという音楽が、20代、30代に人気があり、注目を集めている。

 まずはFM STATION onlineをご覧の方なら、シティ・ポップという音楽ジャンルはご存じだろう。1970年代~1980年代にかけて制作され流行した、AORやソウル、ソフトロックなどの洋楽に影響された音楽のことで、メロディは、それほど激しくかつ重くなく、聴き心地よく軽快で柔らかい、歌詞は洗練された都会の生活を綴っているという特徴を持っている。このジャンルにくくられる主なミュージシャンとしては、山下達郎、杉山清貴、杏里、竹内まりやなどがあげられる。

 現在シティ・ポップは、2020年に松原みきの1979年に発売された『真夜中のドア~Stay With Me』がSpotifyグローバルチャート18日連続世界1位を記録した影響で、国内だけでなく、海外からも再評価され、大人気となっている。再評価され始めた当初は、当時聴いていた人が懐かしさもあって支持したケースが多かったが、徐々に20代や30代の若者の間でも、メロディが美しく、オシャレな音楽として評価され、愛聴されるようになっている。実際、シティ・ポップのCDやレコードが数多くそろう中古音源チェーン店のユニオンレコード新宿に行くと国内外の老若男女でとてもにぎわっている。

Vaundyやキタニタツヤなど人気アーティストがシティ・ポップに影響された楽曲を発表

 ここで話を戻し、ネオ・シティ・ポップ。これは、シティ・ポップに何らかの影響を受け、2010年以降にリリースされた音楽と定義づけられている。いずれも、当時の音楽から丸ごと影響されるのではなく、コンピュータ 使用による音数の増加や、90年代以降に人気がアップしたヒップホップの引用、今の社会にマッチした歌詞など現代版にアップグレードされたものになっているのが特徴だ。

 ネオ・シティ・ポップの面白いところは、ジャンク・フジヤマなどネオシティ・ポップとくくられるミュージシャンはいることはいるが、ジャンルというよりも要素として、シティ・ポップをメロディや歌詞に取り入れているアーティストが多いことだ。

 その代表と言えるのが、Vaundy(読み:バウンディ)だろう、ドラマ、アニメ、CMなどで数多くの曲が採用され、ヒット曲を連発し、今や日本を代表するアーティストになっている。その彼の代表曲の一つである『東京フラッシュ』なんてまさにネオ・シティ・ポップ。AOR調のメロディ、重なりあうムーディなコーラス、東京という単語が出てくるなど都会的な歌詞となっている。さらには『瞳惚れ』。さわやかなギターカッテイングに耳なじみの良いメロディになっている。

 彼だけではない、2023年のNHK紅白歌合戦に出場し、携わった音源のYouTube総再生回数は10億回以上というトップアーティストのキタニタツヤ。彼が紅白出場の際に歌った『青のすみか』、全体を聴くとそうでもないが、ボーカルのメロディラインだけをピックアップするとソウルフルなネオ・シティ・ポップだ。ネットで『青のすみか シティ・ポップ』と検索するとシティ・ポップ調にカバーした動画がいくつもアップされている。

  さらにNulbarich(読み:ナルバリッチ)。人気アニメ『ミギとダリ』のエンディング主題歌『Skyline』で知られ、海外でも多くのライブを行っているアーティストだ。最新曲『Floatin’』はブラックミュージックをベースにした口ずさみやすいメロディのネオ・シティ・ポップな曲だ。著者の個人的な感想だが、初めてを聴いたとき、アメリカのレジェンドバンド・TOTOが1982年に出したAORの名曲『アフリカ』を思い出してしまった。

 彼ら以外にも今やシティ・ポップの要素は人気のある若いアーティストの曲に取り入れられ、ネオ・シティ・ポップとなり、多くの人たちに愛聴されているのだ。

文/永島辰彦(FMステーション編集部)

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